梢叶子は、私淑している作家稲村に原稿を読んでもらうために北海道から上京した。叶子は二十三歳、魅力ある女である。女学生の顷、従足の秋本と恋爱事件を起こし、无理矢理大地主の松川と结婚させられたが飞びだしてきたのだった。叶子は稲村の绍介で出版社有文堂の一色と面识を持った。二人は间もなく恋爱関系をもつようになった。叶子の小说が本になった顷、彼女は青年画家山路を知った。一方、稲村は突然妻を亡くし、一色と别れた叶子との仲は急速に进んでいった。稲村は子供たちの勧めるように结婚にふみ切れなかったが、叶子の若い肉体に溺れていった。しかし上京した秋本が叶子のあとをつけまわすようになると、稲村は叶子を独占できない苛立たしさを感じるようになった。叶子は秋本から今でも生活费の援助を受けていたのだ。気まずくなった叶子は、ある夜、口论のあげく稲村の家を飞びだし、山路の许に走った。叶子に去られ、今さらのごとく自分の生活の中の空洞を见出した稲村は、叶子を探し廻り、家に连れ戻した。叶子には、稲村を利用し、いい小说を书こうという野心があり、稲村と生活していたが、次第に自分が逆に稲村のいけにえになっているのを感じた。ある日、叶子は妇人雑志记者三谷の前で自分を骂倒した稲村と口论し、再び家を飞びだした。彼女は山路のアトリエを访れ、结婚してほしいと迫った。叶子をモデルに裸妇像を描いたことのある山路はそれを拒绝した。叶子は雪がちらつき始めた街の中にあてもなくさまよいでていった。それは男を利用しようとしながら结局、男に利用された女の姿だった。